プラットフォーム流用とクルマの大型化

以前にも書いたように記憶しているが、原価低減を御旗にしたプラットフォームの流用戦略がクルマを不必要に肥大化させる一因だと私は考えている。

プラットフォーム流用は日本のお家芸のように言われているが、それをはじめたのは、イタリアのカロッツエリア達だ。

既存の車種のシャシー・フレームにボディーを架装していたのから始まったが、クルマのモノコック化の流れからプラットフォーム流用の原点を見ることができる。

有名な例では、いすゞのフローリアンとそのプラットフォームを流用したジウジアーロ・デザインの117クーペだ。

イタリアのカロッツエリアたちは、ベース車の基本構成‥エンジン・コンパートメントやフロア形状‥サイズを守ったまま、多くは美しいクーペ・ボディを架装した。
こちらの例は、自動車雑誌などでも何かあるたびに語られているので、ご存知の方も多いと思う。

もう一方のプラットフォーム流用の流れは、アメリカにある。
GM・フォード・クライスラーらビッグ3の販売するボディーの肥大化が進む一方、空白になった小型車市場に欧州車(そして日本車)が入り込んでくる。
それらに対向するために、サブ・コンパクト・カーと名乗って登場したモデルたちだ。
これらは、上級モデルのホイール・ベース‥フロア‥を切り詰めて、ホイールベースを短くし、基本構造を大きく変更せずに設計された、言ってみればプラットフォーム流用車である。

どう見てもでかい外寸だが、これがサブ・コンパクトと呼ばれるのは、ホイールベースが100in=2540mmを目安に区切られていたからだ。

極端な例では、AMC社のグレムリンだろうか。
エンジンはV8の5Lまで選べたと言うから、全長4326mm、全幅1793mm、WB2438mmのサイズから考えるとあまりにばかばかしい数字だ。

現在文字通り幅を利かせている幅広小型車の正体は、後者のほうだろう。
上記グレムリンの例のように極端ではないにしても、巧妙にカムフラージュされているものが多い。
小さなクルマの大型化は、メーカーの手抜きを知るバロメーターだ。

軽自動車が売れているのは、優遇された税制もさることながら、そのサイズによるところも大きいだろう。

これは消費者の、不必要な「大型」小型車はいらないという声無き声であることを、メーカーは知るべきである。

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Project X 2

リンク: @nifty:NEWS@nifty:ホンダなど4社も、無届けで公道テスト(読売新聞).

前回はいすゞだけだったが、他社でも発覚した。
多かれ少なかれ同じようなことは他社でもやっていると思われるが‥。

無届の公道テストの原因は色々あろうが、競争の激化で開発期間が短縮される中で、諸認可の処理が煩雑で、時間がかかりすぎるというのもあるのではないだろうか?

国も国産車の商品価値を高め競争力を保ちたいなら、未届けを咎める以前に自分達の仕事のやり方を見直すべきであろう。
即ち、許認可の迅速化だ。
ぜひKAIZENを願いたいものだ。

特に末端の木っ端役人(窓口の受付に座ってるやつ)レベルでおかしなことになっていない?
届け出る事務所によって、解釈に違いは無い?
申請書の一字一句にこだわって権力乱用してるやつ、居ない?

そんな程度のことでも、かなり事態は変わると思うのだが‥。

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CKD生産

私もこのブログで何度か使っているが、自動車の生産体制でCKD(Complete KnockDown)という言葉がある。

直訳は、「完全現地生産」。

KnockDownだけだと、半完成品組み立てとなる。
たとえば、シャーシーだけ現地へ送って、トラックのボディーや荷台だけを組み立て、載せたりするレベルである。
CKDといった場合には、部品のレベルから車を丸ごと組み立てることである。

これにもレベルがあって、プレス工場から一貫生産しているか、ほかの国からプレスしたパネルを持ってくるか、ある程度組み立てた状態で持ってくるかとか、エンジンはどっかから持ってくるとか、生産する国によって内情はばらばらである。

第2次大戦後、日本の自動車生産はCKDから始まった。
日産自動車はイギリスのオースチン、いすゞは同ヒルマン、日野はフランス・ルノーといった具合に欧州各社のCKD生産から開始し、徐々に部品を国産化。
車両の構造と生産技術を学び、やがて自社開発へと移る。

その後日本のメーカー各社も、今度はアジア各国や、中南米でのCKD生産を始める。
自国の産業育成のために、輸入車への関税が高く設定されている国が多く、少ない生産数であっても現地で生産したほうが安く現地へ供給できるからだ。

やがて現地での組み立てであっても、輸入する部品に関税がかかるようになり、部品生産の現地化が進む。
タイや台湾などでは、既に自動車のほとんどの部分を現地で生産している。

更には、インセンティブと呼ばれる、現地開発に対して税的優遇を与えるケースも出ており、東南アジアをベースとする車両の開発も既に始まっている。
とは言っても、あくまで周辺部品だけで、エンジンなどの基幹技術は日本で握っているが。

現地資本との結びつきが深い中国は、その意味不気味な存在である。
東南アジア各国では、現地資本が入っていても日本車のブランドイメージが高いためにそのままのブランドで売り続けられている。
しかし、中国では同資本の自動車会社が複数の外国メーカーと提携しCKD生産を行っているケースもある。
そして、生産は政府指導のもとに行われ、調整されている。
態勢がひっくり返れば、工場、生産設備、作ってる車さえもまるごと政府に徴用される可能性もあるのではないか?

中国は自動車にとって将来有望な、巨大な市場であるのは間違いないが、現地化には細心の注意が必要に思う。
私が心配するまでも無く、各社予防線は張っているだろうが‥。

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男のピアッツァ

いすゞピアッツァと言えば、ジウジアーロのアッソ・ディ・フィオーリを基にしたジェミニオペル・カデット・ベースの美しいクーペを思い出す。
24年前のデビューにかかわらず、今でもその普遍的な美しさは誰もが認めるだろう。

しかし続いて登場した2代目ピアッツァは‥ベースのジェミニクーペ(参照は
、兄弟車のPAネロ)と比較しても、もう何も言いたくないほどひどいデザインだった。
兄弟車で、ボディーのほとんどの部分が共有にもかかわらず、どうやればここまでデザインが崩せるのだろう?

しかもそのキャッチ・フレーズたるや「男のピアッツァ」
70年代初期のパワー・ウォーズ時代かと間違ってしまいそうな、もう完全に勘違いである。

案の定、その直後いすゞは乗用車生産から撤退する。

物事の終わりの前には、必ず前触れがあるということだろうか‥。

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現代版プロジェクトX?

@nifty:NEWS@nifty:いすゞが公道で無届け耐久テスト走行、国交省が警告書(読売新聞)

これが昭和30年代だったら、まさにプロジェクトXだったろう。
まだ技術的な無茶が許される時代‥発展途上の時代は、とうに過ぎ去っている。

そこまでして公道でテストしなければいけない理由とは何なのだろう?

テストコースでは再現できないデータもあるだろう。
しかし、簡単で効果が上がる故に、それをテストで再現する努力を怠ってきたのではないだろうか。

もっとも、未完成の品を不特定多数の素人に金をもらった上でテストさせて、事故っても知らんぷりといういすゞを上回る会社もあったのだが。

1970年代は、環境を初め技術競争の激しかった時代。
いろいろな手段でこれを乗り切っていたのであろうが、そのときに無理をしたことが今になって表面化しているだけかもしれない。

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